ネット上のQ&Aサイトや医師専用コミュニティでは、「循環器内科医は性格が体育会系でチャラい」「気が強くて近寄りがたい」といった言説が散見されます。こうしたステレオタイプは果たして事実なのでしょうか。専攻医の志望動機や医局カルチャーの変遷を辿ると、噂の背景にある構造的な要因が判明します。
第一に、「体育会系で好戦的」というパブリックイメージは、過去の急性期医療カルチャーに由来します。昭和から平成にかけての循環器内科は、徒手空拳で夜通しの蘇生処置を行い、根性と体力で患者を救うという強烈なプロフェッショナリズムが支配していました。その名残が「声が大きく、決断が早く、主張が明確」という性格的特徴として語り継がれています。しかし、現代の専攻医(後期研修医)の志望動機を精査すると、その内実は大きく変化しています。
「単に勢いで処置をするのではなく、心不全の薬物療法(ARNIやSGLT2阻害薬など)のエビデンスに基づいた緻密なデータマネジメントに魅力を感じて専攻を決めた」という若手医師が主流を占めています。手技の派手さだけでなく、心臓超音波検査による微細な血行動態の解析や、不整脈に対するアブレーション治療の論理的アプローチを重視する知性派が増加しており、「粗暴な体育会系」というレッテルは過去のものとなりつつあります。
第二に、「チャラくて遊んでいる」という噂の真相です。オンとオフの切り替えが極端に求められる職種であるため、限られた可処分時間で全力でリフレッシュしようとするバイタリティが、外部から「派手」と誤認されやすい側面があります。死の恐怖と向き合う日常のストレスコーピング(対処法)として、アクティブな趣味や人付き合いを好む医師が多いのも事実ですが、日々の研鑽を怠れば即座に医療事故につながるため、内面は極めてストイックです。