犬がチョコレートを誤飲した場合、食後すぐに異変が現れるとは限りません。テオブロミンの吸収速度や胃内容物の消化スピードに依存するため、症状の発現には段階的なタイムラグが存在します。
① 摂取後2〜4時間(初期段階:消化器系・軽度興奮)
毒素が血中に回り始め、最初に消化器系の反応が現れます。
- 落ち着きがなくなり、部屋の中をウロウロと歩き回る(異常な興奮)
- 大量の水を飲み、頻繁に排尿する(多飲多尿)
- 突然の嘔吐や泥状・水様性の下痢
- 呼吸が荒くなり、パンティング(ハァハァという息遣い)が止まらない
② 摂取後6〜12時間(進行段階:循環器系・中枢神経異常)
血中テオブロミン濃度がピークに近づき、心臓や神経系に重篤な毒性が発現します。
- 脈拍数が異常に跳ね上がる頻脈や、脈が飛ぶ不整脈の発生
- 筋肉のピクつき、震え(振戦)、足元がふらついて歩行困難になる
- 体温の上昇、腹部の強い張りや痛み
③ 摂取後12〜24時間以降(重篤・致死段階:全身不全)
適切な処置が施されなかった場合、中枢神経が完全に破綻します。
- 意識混濁、呼びかけに反応しなくなる昏睡状態
- 全身を硬直させるてんかん様発作・痙攣
- チアノーゼ(舌や歯茎が紫色になる)を伴う呼吸困難
- 重篤な不整脈による心停止、または多臓器不全による死亡
「食べてから1時間経っても元気だから大丈夫」と経過観察を続けてしまう飼い主が少なくありません。しかし、元気に見えるのは毒素がまだ胃腸から完全に吸収されていないだけの潜伏期間である可能性が高く、時間が経つほど催吐処置(胃洗浄など)の有効性は著しく低下します。