2000年代以降、全国各地に「〇〇商店」などに代表されるチェーン店が急増しました。現在、市場には大きく分けて吉村家の血統を受け継ぐ「直系・手仕込み店」と、大手企業が展開する「資本系チェーン」の2系統が存在します。両者の間には、店舗運営やスープの製法において埋めがたい決定的な溝があります。
直系と資本系の決定的な違いを浮き彫りにするのが、セントラルキッチンの真相です。資本系店舗の多くは、工場で巨大な圧力釜を用いて骨をエキス化し、均一にブレンドされた白い冷凍スープパックを各店舗へ配送しています。店舗側ではそれを解凍して温めるだけで提供できるため、豚骨を店内で煮出す手間や匂い、熟練の職人技術を一切必要としません。アルバイトでも短期間で安定したオペレーションが組めるため、圧倒的なスピードで全国のロードサイドや商業施設に出店することが可能となりました。
一方で、直系店をはじめとする本格派店舗では、店内仕込みの生ガラに徹底してこだわり続けます。その日の気温や湿度、豚骨の個体差によって骨を砕くタイミングや火力を細かく調整するため、日によって微妙にブレが生じるものの、骨由来のフレッシュな力強さと醤油の鮮烈なキレは、工場生産のスープでは決して再現できない領域にあります。
資本系のクリーミーなスープに対して、古くからのファンからは「これは本来の家系ではない」という批判的な声が上がることも事実です。しかし、資本系チェーンが排熱や豚骨臭の問題をクリアし、清潔で明るい店内にテーブル席や駐車場を完備したことで、ファミリー層や女性層にまで家系の裾野を広げた功績は極めて大きいと言えます。