怪異とも言える凄みとコミカルさを同居させた唯一無二の芸風は、どのようなバックボーンから育まれたのでしょうか。我王銀次の本名は阿部雅彦(あべ まさひこ)。福島県いわき市に生まれ、若くして表現の世界に飛び込みました。
演劇の街・下北沢などを舞台に劇団活動を開始し、アングラ演劇の熱気を肌で吸収した我王銀次は、舞台上で圧倒的な存在感を放つようになります。ただ立っているだけで空間の空気を変えてしまう圧倒的なフィジカルと天性のリズム感は、すぐに映画監督やプロデューサーの目に留まることとなりました。
また、我王銀次を語る上で欠かせないのがプロレス・格闘技界との深いパイプです。当時社会現象となっていたインディープロレス団体「FMW」などのリング周辺や格闘技イベントにも関わりを持ち、レスラー顔負けの肉体美と危険な色気でファンを熱狂させました。大仁田厚をはじめとする当時のプロレス関係者や格闘家たちからも一目置かれ、単なる「強面俳優」の枠に収まらない、ストリート感あふれるカリスマ性を確立していったのです。