有明海沿岸を走る国道207号沿い、「道の駅 鹿島」や「道の駅 太良」の直売所に一歩足を踏み入れると、そこはもはやスーパーの生鮮売り場ではない。朝ドラの築地ロケ現場のような怒号に近い活気が渦巻いている。泥んこ体験で世界に名を馳せた干潟のすぐそばで、ピチピチと跳ねるムツゴロウやワラスボ、そして桶から溢れそうな竹崎ガニが所狭しと並ぶ。
午前中に訪れなければ、お目当ての海産物は一瞬で買い尽くされる。「ここに来るためだけに朝5時に博多を出た」と笑う家族連れの買い物カゴには、まだ潮の香りが残る茹でたてのワタリガニが山盛りに放り込まれていた。流通を通さない、水揚げから数時間という暴力的なまでの鮮度。この圧倒的なリアルこそが、画面越しのECサイトでは絶対に満たされない欲望を直撃している。