2015年9月に公開された『映画 みんな!エスパーだよ!』の製作発表時、最も世間をざわつかせたのがヒロイン・平野美由紀役のキャスト交代でした。ドラマ版で圧倒的な存在感を放っていた夏帆に代わり、新ヒロインに抜擢されたのは当時モデルとして頭角を現していた池田エライザでした。この交代劇には、主に3つの構造的な要因が存在していました。
最大の要因は、本格映画への出演スケジュールとキャリアのシフトです。映画版の撮影が行われていた2014年末から2015年前半にかけて、夏帆は是枝裕和監督の映画『海街diary』(2015年6月公開)の主要キャスト(三女・千佳役)として撮影やプロモーション、さらには第68回カンヌ国際映画祭への公式出品に伴う渡航スケジュールなどを抱えていました。『海街diary』は夏帆にとって日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得することになる極めて重要な文芸大作であり、スケジュール調整が極めて困難だった実情があります。
さらに、所属事務所による「イメージ戦略のフェーズ移行」も大きく関係しています。ドラマ版の『みんな!エスパーだよ!』において、夏帆はそれまでのパブリックイメージを覆すパンチラアクションや下ネタの応酬に全力で挑み、「脱・清純派」という目的を120%達成しました。同じキャラクターを映画版で再び過激に演じ続けることよりも、次のステージである本格派映画や重厚な人間ドラマへとリソースを集中させる判断が下されたと見られています。