こうした市況の不透明感に対抗するため、設計者や調達担当者に求められているのが、規格に対する深い理解と柔軟な選定手法だ。日本産業規格であるJIS G 3192は、熱間圧延形鋼の形状、寸法、質量およびその許容差を厳格に規定している。
現場での典型的な失敗例として挙げられるのが、設計段階で指定された特定のウェブ厚やフランジ幅のサイズに過度にしがみつき、市場在庫が枯渇しているタイミングで無理な調達を試みるケースだ。JIS G 3192の規格範囲内には、断面性能が極めて近く、代替として機能するサイズが多数存在する。
構造計算の前提を崩さずに、流通在庫が豊富な同等サイズへ迅速に設計変更を提案できるかどうかが、手配の成否を分ける。一流の調達担当者は、単に価格交渉を行うだけでなく、設計部門と密に連携してJIS規格の互換性を突き合わせ、最も供給リスクが低いサイズを選択する動的なアプローチを実践している。