一方で、結婚という人生の大きな変化が、彼の作る音楽に全く影響を与えなかったわけではない。公表前後の楽曲を時系列で追っていくと、表現のスケールが明らかに広がっていることに気づかされる。単なる「君と僕」の恋愛模様から、より広い意味での「愛」や「日常の尊さ」へと視点がシフトしているのだ。
例えば、大ヒット曲「瞬き」で歌われる「幸せとは星が降る夜と眩しい朝が繰り返すことのためではない、大切な人に降り注ぐ雨に傘を差すことだ」というフレーズ。ここには、守るべき家族という存在を得た男だからこそ到達できた、確固たる人生観が滲み出ている。痛切な失恋ソングの切れ味は保ちつつも、聴き手を包み込むような温かさと包容力が、近年の楽曲にはより色濃く反映されるようになった。