ネット上やSNS広告では、「AIを使えば動画のモザイクを綺麗に消去できる」「モザイク除去アプリで元の映像を復元」といった情報が定期的に拡散されます。しかし、デジタル画像処理および情報科学の観点から言えば、動画のモザイク消去の真相は「元の映像データを復元しているのではなく、AIが想像で描いた別物の画像を貼り付けているだけ」です。
モザイクやぼかし処理は、元のピクセル群の平均値を算出して塗りつぶす「非可逆圧縮(不可逆変換)」の処理です。一度モザイク処理を施して書き出された動画ファイルからは、元の微細なテクスチャや個人識別情報は完全に破棄・欠落しています。数学的に存在しないデータを元通りに取り出すことは原理的に不可能です。
いわゆる「モザイク除去ツール」と称するソフトウェアの実態は、過去に学習した数万枚の顔画像データから「統計的にもっともらしいパーツ」を生成して上書き合成しているに過ぎません。さらに、こうしたソフトを謳うサイトの大半がマルウェア感染や高額なサブスクリプション詐欺の温床となっているため、絶対に手を出さないよう注意喚起されています。