ヤンバルクイナが学術的に新種として記載されたのは1981年(昭和56年)のことです。当時、日本国内で新種の鳥類が発見されるのは実に90年ぶりの出来事であり、学会のみならず社会全体に大きな衝撃を与えました。
山階鳥類研究所の研究員らによる現地調査の過程で捕獲・確認されたこの鳥は、ツル目クイナ科に属し、学名をGallirallus okinawae(現在はHypotaenidia okinawaensisとされることが多い)と名付けられました。沖縄本島北部(山原=やんばる)の限られた地域にのみ生息することから、和名として「ヤンバルクイナ(山原水鶏)」と命名された経緯があります。
地元住民の間では古くから「アガチャ(慌て者)」や「ヤマトゥカー(山にいる水鶏)」といった方言名でその存在が知られていましたが、夜間に木の上で眠る習性や深い藪を素早く走り抜ける俊敏さから、近代的な分類学のメスが入るまでその正体は長い間謎に包まれていました。発見の翌年である1982年には国の天然記念物に指定され、その後、種の保存法に基づく「国内希少野生動植物種」に指定されるなど、国家レベルでの保護対象となりました。