名門を率いる関西高校ボート部 監督および指導陣が掲げるのは、昭和型の強圧的なしごきではなく、「選手自身が艇の推進力を論理的に説明できる状態をつくる」という極めてモダンな指導哲学です。
ボートという競技は、レースがスタートすれば監督の声は届きません。水上で時速20キロメートルを超えるスピードの中、乳酸が限界まで溜まった過酷な状況で的確な判断を下すのは艇上のクルー自身です。そのため、日頃の練習から「なぜ今艇がブレたのか」「どの瞬間で推進力が逃げたのか」を選手同士で議論させ、セルフマネジメント能力を徹底的に磨き上げます。
指導陣の手腕は、高校からボートを始めた「未経験者」をわずか2年足らずで全国トップレベルの漕手へ育て上げる育成ノウハウにも如実に表れています。骨格や筋力の個別特性を見極め、ミリ単位でオール角やフットストレッチャーの位置を調整する職人的な技術指導が、個々のポテンシャルを極限まで引き出しています。