「横手」という言葉を聞いて、東北の野球ファンが思い浮かべるのは投手フォームだけではない。秋田の名門・横手高校をはじめとする、雪国の伝統校が積み上げてきた緻密な戦略野球の歴史だ。厳しい冬の間、屋内練習場で徹底的にフォームと向き合う雪国の球児たち。彼らは昔から、速球一辺倒ではない「技と変化」の野球を研ぎ澄ませてきた。
かつて甲子園のスタンドを唸らせた秋田勢の変幻自在な投球術。そのDNAは今、指導者たちのネットワークを通じて全国へ広がっている。下半身主導のフォームづくり、柔軟性を生かした横手投げへの転向アプローチなど、地域特有の育成ノウハウが全国的なサイドスロー旋風の底流に存在している。