なぜこの橋はこれほどまでに個性的で美しい造形を持つに至ったのだろうか。その背景には、あまりに過酷な地理的制約を克服した高度な土木技術が存在する。
現場は羽田空港に近く、航空機の安全な運航を守るために構造物の高さが海面から100メートル以下に制限されていた。一方で、大型コンテナ船が下を安全に通過できるよう、桁下の高さを54メートル以上確保しなければならなかった。この相反する二つの制約を同時にクリアするため、国土交通省と東京都港湾局が選んだ回答が、トラス構造橋梁という設計アプローチだった。三角形を組み合わせた堅固なフレーム構造を採用することで、橋脚と橋脚の間隔を440メートルも開ける巨大スパンを実現。その結果生まれたダイナミックなトラスの形状が、偶然にも2頭の恐竜が対峙しているように見えたことから、「恐竜橋」という愛称が定着したのである。