20代から30代へと進むにつれ、アイドルから本格的な舞台俳優へと脱皮を図った川崎麻世。その金字塔となったのが、東宝が誇る不朽の名作ミュージカル『レ・ミゼラブル』への出演だった。愛、罪、赦し、そして父と子の絆をテーマにした大作に全身全霊で挑むなか、彼の中で「生きているかもしれない実の父親に会いたい」という衝動が抑えきれないものとなっていく。
ついに独自の関係者ルートを辿り、父・安藤一人の居場所を突き止めた。半世紀近い空白の時間を越えた、運命の再会。ドアを開けた瞬間に立っていたのは、自分と瓜二つの輪郭を持ち、年輪を重ねた父親の姿だった。
「恨んでいたわけじゃない。ただ、会いたかった」——言葉よりも先に涙が溢れ出した。父もまた、息子の活躍を陰ながら見守り、劇場のパンフレットや雑誌の切り抜きを大切に保管していたという。確執やわだかまりが、抱擁とともに一瞬で氷解した奇跡の瞬間だった。