2005年7月期に関西テレビ・フジテレビ系列の火曜22時枠で放送された連続ドラマ『がんばっていきまっしょい』は、四国・松山を舞台にした爽やかな青春ドラマとして大きな期待を集めてスタートしました。しかし、この作品は放送開始直後、日本のテレビドラマ史に残る前代未聞のアクシデントに見舞われます。
物語のキーマンである男子ボート部員・中田三郎役を務めていた内博貴氏(当時NEWSおよび関ジャニ∞)が、第2話放送後の2005年7月16日未明、遠征先の仙台市内で未成年飲酒騒動を起こし、警察に補導されたことが発覚しました。当時の所属事務所およびフジテレビ側は即座に無期限の芸能活動自粛処分を発表し、番組からの電撃降板を決定しました。
連続ドラマの第2話終了時点で主軸キャストが離脱するという危機的状況の中、制作陣は代役として当時KAT-TUNのメンバーであった田口淳之介氏の緊急起用を発表。すでに放送済みであった第1話および第2話の内氏の出演シーンを含め、過酷なスケジュールの中で大規模な撮り直し作業が進められました。現場関係者の証言や当時の報道資料によると、ロケ地である愛媛県松山市と東京のスタジオを往復しながら、放送枠に穴を開けないよう不眠不休の再撮影が敢行されたと記録されています。
この前代未聞の交代劇を乗り越えて全10話が完走したものの、現在に至るまで地上波での再放送が実現しない理由は、単にこの降板事件だけにとどまりません。その後に積み重なった複数の権利処理上のボトルネックが影響しています。
まず、代役を務めた田口淳之介氏がグループ脱退後の2019年に大麻取締法違反で有罪判決を受けた事実が挙げられます。民放各局の編成ガイドラインにおいて、主要出演者の薬物関連事案は再放送審査における極めて重い審査項目となります。加えて、もう一人の主役級キャストである関野大野役の錦戸亮氏をはじめ、出演陣の多くが旧所属事務所から独立して環境が大きく変化したことも、権利関係の再許諾手続きを極めて困難にしています。
テレビ局関係者の見解によると、ドラマの地上波再放送やネット配信には、全出演者および原作者、主題歌のレコード会社など全ての権利保持者からの許諾が必須となります。本作のように「放送途中でキャストが交代したバージョン」と「幻となった初期バージョン」が存在し、さらに出演者の法的事案や独立が複雑に絡み合う作品は、再許諾にかかる法務コストとリスクが著しく高いため、地上波での再放送や主要な見放題サブスク(FOD、TVer、Netflix等)へのラインナップが見送られ続けているのが実態です。