田原俊彦と中山美穂が活躍した時期は、日本のテレビカルチャーが最も華やかで実験的だった時代と重なる。歌謡曲の黄金期からトレンディドラマの黎明期への移行。ファッション、髪型、言葉遣いに至るまで、彼らの選択するスタイルすべてが若者たちのバイブルとなり、トレンドを形成していった。
軽快なステップと圧倒的なステージパフォーマンスで魅せるダンスポップス。一方で、哀愁を帯びたバラードや都市生活者のリアルな恋愛模様を描いたヒット曲。二人が生み出した音楽や演劇作品は、当時の都市生活者の心情と完璧にシンクロしていた。彼らの存在そのものが、豊かさとどこか切なさを抱えていた80年代末から90年代初頭の日本の空気を映し出す鏡だったと言える。