イタリアにおける組織犯罪の歴史を語るうえで、地域ごとに異なる独自の進化を遂げた三大組織の存在を外すことはできない。シチリア島を本拠地とする「コザ・ノストラ」は、厳格な階級制度と政治家との癒着によって20世紀半ばから後半にかけて圧倒的な支配力を誇った。彼らの存在こそが、世界中に「マフィア」の名を轟かせた源流である。
一方で、本土南端カラブリア州の山岳地帯から台頭したのが「ンドランゲタ」だ。血縁関係を中心に構成される強固な家族構造を持ち、内部告発者が極めて出にくい特徴を持つ。現在では欧州全体のコカイン密輸ルートを実質的に支配し、推定で年間数百億ユーロ規模の資金を動かす世界最強の犯罪組織へと変貌を遂げた。
さらに、ナポリを中心とするカンパニア州の「カモーラ」は、中央集権的な指導部を持たず、無数の若手ギャングが街の利権をめぐって血で血を洗う抗争を繰り広げる流動的なネットワークを特徴とする。これら三者三様の暗黒組織は、時代ごとに姿を変えながら、イタリア社会の陰謀と経済の裏側に根深く寄生し続けてきた。