劇場の枠を越えて全国区の支持を決定づけたのが、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で演じた鎌倉幕府三代将軍・源実朝役だ。政治の権謀術数に振り回されながらも、格式高い孤独と繊細な詩心を秘めた若き将軍。柿澤はその苦悩を、澄んだ瞳とわずかな声の震えだけで見事に表現してみせた。
ヒットメーカーである脚本家・三谷幸喜は、柿澤が持つ「静かなる狂気と品格」を完璧に見抜いていた。実朝が自らの宿命を受け入れ、雪降る鶴岡八幡宮で最期を迎えるシーンは、放送後にSNSや劇評で大絶賛を浴びる。和歌を詠み上げる声の美しさと、死を覚悟した男の哀愁。あの瞬間、柿澤勇人という名はお茶の間の記憶に深く刻まれた。