ネット空間で定期的にスレッドが立ち上がり、議論が沸騰するのが「両津勘吉の先見の明」だ。電子マネーの普及、VR空間での不動産取引、シェアリングサービス、投げ銭スタイルの動画配信——。1980年代から2000年代の段階で、作中にすでに登場していたビジネスアイデアは数知れない。
「両さんの着眼点、早すぎただけで今のITトレンドそのものだろ」。そんな声が飛び交う通り、本作は軽快な警察コメディでありながら、時代の空気を察知するアンテナが異常なまでに鋭かった。単にヒット予測を当てるだけでなく、投機バブルの発生から崩壊のメカニズムまでセットで描き切るリアルさが、大人になった読者の心を捉えて離さない。