声優・歌手として頂点を極めた後、彼女は活躍の主軸を舞台劇の生現場へと移していった。『レ・ミゼラブル』や『モーツァルト!』など、日本を代表する大作ミュージカルのメインキャストを次々と射止め、劇場空間で鍛え上げられた肉体表現は劇的な変革を遂げた。舞台上で放つ圧倒的な存在感、全身を駆使した感情の発露、そして観客を包み込む歌声。これら舞台芸術で磨かれたフィジカルの強靭さは、彼女の写真表現にも目覚ましい深化をもたらす。
現在の彼女がレンズの前に立つ時、そこに漂うのは可憐さだけではない。いくつもの困難な役柄を演じ切ってきた一人の女優としての静かな誇りと、研ぎ澄まされた気品だ。マイクの前で培った細やかな役作りと、ミュージカルの現場で開花した圧倒的な身体性がクロスオーバーした時、一瞬の写真には劇場の舞台さながらの濃密なドラマが立ち現れる。