色の名前をめぐっては、いくつかの大きな誤解や落とし穴がある。ここではデザイン・印刷・ファッションの現場でよく起きる混乱を整理する。
誤解①:「和色の名前はひとつの色に一対一対応している」は間違い
実は、同じ色名が時代や地域によって指す色のHEX値が異なることは珍しくない。たとえば「浅葱色」は、資料によって#00A4ACから#00B7CEまで幅があり、「配色の見本帳」と「和色大辞典」で数値が微妙にずれている場合がある。これはウィキペディアの「日本の色の一覧」でも明記されており、「ここで示したものは近似色であり一例」と注記されている。色の名前とカラーコードを完全に一致させようとするのは、そもそも無理があるのだ。
誤解②:「英語の色名=CSSのカラー名」ではない
英語には数千種の色名があるが、CSSブラウザ規格で定義された140色はその一部に過ぎない。「Periwinkle(ペリウィンクル)」や「Chartreuse(シャルトリューズ)」などは英語の色名として広く知られているが、CSSの標準色名リストとは別系統で管理されている。色の名前をWebデザインに使う際は「CSS定義済みの140色か否か」を意識することが重要だ。
誤解③:「新しい色名=商業ネーミング」と軽視するのは危険
「モカムース(Mocha Mousse)」のようなパントン社発表のトレンドカラー名は、「商業的なネーミング」と批判されることもある。しかし実際には、こうした色名は全世界の繊維・インテリア・美容業界の2〜3年分のトレンドを先読みするデータ分析の産物であり、その影響力は極めて大きい。色の名前の由来が古来の自然物に連なる和色と、現代のデータドリブンなトレンドカラー名は、別のレイヤーで機能していると理解すべきだ。
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