李相日監督のフィルモグラフィーにおいて、常に注目を集めるのが吉田修一原作との強力なタッグです。『悪人』『怒り』に続き、任侠の家に生まれながら歌舞伎の頂点を目指す男の生涯を描いた映画『国宝』(吉沢亮主演、横浜流星共演)は、日本映画のスケール感を大きく塗り替える歴史的メルクマールとなりました。
伝統芸能である歌舞伎の様式美と、血と情念が渦巻く人間の業を融合させた本作において、李監督の演出はさらなる深化を遂げています。単なる伝記的ドラマにとどまらず、「芸道に魂を売り渡した表現者の孤独」を鮮烈に映像化。2026年を迎えた現在も、国内外の主要映画祭や批評家筋から極めて高い支持を集めており、監督としてのキャリアは円熟期でありながら最も攻めたフェーズに突入しています。