外食で最も迷う二大巨頭といえば、ステーキととんかつだろう。どちらを選ぶべきかは、その日の体調や食べる時間帯、そして何を飲みたいかによって論理的に決まる。
ステーキハウスに足を運んだ際、ワインとともに肉のガツンとしたパンチを堪能したいならロース(サーロイン)一択だ。強火で焼き上げられた表面の香ばしさと、溶け出す脂のジューシーさが重厚な赤ワインのタンニンを包み込む。一方で、コース料理の終盤や胃腸に負担をかけたくないディナー、あるいは繊細なピノ・ノワールを合わせるならヒレ肉が最高のパートナーになる。
とんかつの場合は、衣という油の層が加わるため、力学が少し変化する。食べログで高得点を叩き出す銘店のとんかつを観察すると、ロースカツは豚肉の脂身が持つナッツのような甘みをラードの香りで増幅させる設計になっている。白米を豪快にかき込みたいランチタイムには、ロースのパンチ力が勝る。反対に、豚ヒレ肉を使ったヒレカツは、油切れの良さとシルキーな歯触りが魅力だ。ソースではなく岩塩やレモンでさっぱりと楽しみたいときや、軽快なビールのアテとしてつまむなら、ヒレカツの右に出るものはない。