クリムトの作品が人々を引きつけて離さない理由。それは、絢爛豪華な装飾性の裏側に、常に「死の気配」が潜んでいるからに他ならない。金ピカに輝く背景に描かれた官能的な女性たちの瞳には、どこか虚無感や生の儚さが漂う。
1900年代前後のウィーンは、ハプスブルク帝国の黄昏とともに異様な文化的成熟を迎えていた。精神分析の開拓者フロイトと同時代を生きたクリムトは、人間の無意識下にある欲望や死への恐怖を、絵画という舞台へ見事に昇華させた。今回の会場では照明設計にも趣向が凝らされ、絵画の持つ「光と影」の対比がドラマチックに強調されている。