「swag」という言葉は、決してここ数年で突如生まれた造語ではありません。その歴史を紐解くと、文学的な起源とブラックミュージックの進化が密接に絡み合っています。
語源はシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』
英語スラングとしての「swag」の語源は、動詞の「swagger(スワッガー:胸を張って大手を振って歩く、威張る)」にあります。文献上、この単語を最初に使用したとされるのが劇作家ウィリアム・シェイクスピアであり、1590年代の戯曲『夏の夜の夢』に「What hempen home-spuns have we swaggering here?(ここで威張り散らしている無骨者どもは何者だ?)」という一節が残されています。そこから数百年を経て、誇り高く堂々と歩く姿勢がヒップホップの文脈に転化しました。
Jay-ZとSoulja Boy、そしてジャスティン・ビーバーによる爆発
2000年代初頭、米国のヒップホップシーンでJay-Z(ジェイ・Z)やLil Wayne(リル・ウェイン)といったトップラッパーたちが、自身の卓越したスキルや成功を誇示する言葉として「swag」を歌詞に組み込み始めました。決定打となったのは、2010年にラッパーのSoulja Boy(ソウルジャ・ボーイ)がリリースした大ヒット曲『Pretty Boy Swag』です。「Ay, check out my swag」と繰り返すこの楽曲は、世界中のユースカルチャーにスラングを浸透させる決定打となりました。
さらに、当時ティーンのカリスマだったJustin Bieber(ジャスティン・ビーバー)がインタビューやSNSの投稿で「#Swag」を多用し、自身のアイデンティティとして打ち出したことで、ヒップホップの枠を超えて世界中の一般層へ爆発的に広がったという経緯があります。