インターネット上の誤った情報の中で最も危険なのが、「免疫力を高めて清潔に保てば、おりもの緑自然治癒する」という言説です。生殖器の自浄作用は健常な乳酸菌叢によって維持されていますが、一度外部からトリコモナス原虫や淋菌などの病原体が定着したり、細菌性膣症によって膣内環境がアルカリ性に傾いて自浄作用が破綻したりした場合、体外からの適切な医療介入(抗原虫薬や抗菌薬の投与)なしに病原体が自然消滅することはありません。
放置によるリスクは、単なる不快感にとどまりません。病原体が子宮頸管を突破して子宮内膜、卵管、卵巣、さらには腹腔内へと上行性に感染を拡大させると、骨盤内炎症性疾患(PID)を発症します。これにより卵管采の癒着や卵管閉塞が引き起こされ、将来的な不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)の決定的な要因となります。
とりわけ厳重な警戒を要するのがおりもの緑妊娠初期の局面です。妊娠中はホルモンバランスの変化によって膣の免疫能が低下しやすく、感染症に罹患しやすい状態にあります。もし妊娠初期から中期にかけて細菌性膣症やトリコモナス、クラミジア感染を放置すると、病原菌が子宮内に侵入して絨毛羊膜炎を引き起こし、切迫流産や妊娠中期の前期破水、早産といった胎児の生命に関わる重篤な事態を招く恐れがあります。妊娠中の変色は「即日かかりつけ医へ連絡するレベルの緊急事態」と捉えるべきです。