プロペトの持つ最大の薬理効果は、物理的な「皮膚閉塞性(オクルーシブ効果)」です。角質細胞の間を埋めるセラミドなどの細胞間脂質が流出し、無防備になった角層をプロペトが覆うことで、経表皮水分蒸散量(TEWL)を劇的に減少させます。
小児アレルギー領域や小児皮膚科の臨床現場では、生後早期からのワセリン塗布が乳児湿疹の沈静化だけでなく、アトピー性皮膚炎の発症予防や経皮感作(皮膚からアレルゲンが侵入して食物アレルギー等を引き起こす現象)のブロックに極めて有益であると報告されています。プロペトは添加物や防腐剤が一切含まれていない単一基剤のため、経皮吸収が活発な赤ちゃんの薄い角質層に対しても安全に使用可能です。
アトピー性皮膚炎の急性増悪期には、ステロイド外用薬で炎症を鎮火させた後、寛解維持のためにプロペトが処方されます。皮膚の炎症部位にステロイドを塗布し、その上からプロペトを重ね塗り(または混合処方)することで、薬剤の刺激を和らげつつ保護機能を補填します。
なお、医療機関で処方されるプロペトの薬価は1gあたり約2.4〜3円程度(2026年改定基準・薬価基準による)と非常に安価であり、保険診療(3割負担や乳幼児医療費助成)において経済的負担が極めて少ない点も、長期管理が必要な慢性皮膚疾患の治療において大きな強みとなっています。