市場を検索すると、100万〜300万円台という破格のプライスタグを掲げた物件が目に飛び込んでくる。行政が移住定住促進のために運営する青森市空き家バンクにも、こうした低価格物件が多数登録されており、一見すると「夢の超低コスト移住」が実現できるように映る。だが、現場を歩き建物の内部を調査すると、安さの裏側に潜むシビアな現実が浮き彫りになる。
不動産鑑定士や建物状況調査(インスペクション)の専門家が異口同音に指摘するのが、青森市築古物件の耐震基準に関する落とし穴だ。1981年5月31日以前に着工された「旧耐震基準」の建物は、震度6強以上の揺れに対する強度が公的に担保されていない。青森市は過去の地震履歴からも耐震補強の重要性が叫ばれている地域だが、旧耐震の木造住宅を現行基準相当まで引き上げる改修工事には、数百万円から場合によっては1,000万円超の予算が必要となる。
さらに深刻なのが、登記簿謄本に表れない「名義変更未了(相続未登記)」や「残置物の山」、そして雪の重みによる構造躯体の歪みである。格安で手に入れたとしても、廃棄物処理に80万円、雨漏り補修と基礎クラック補修に200万円、給排水管の全面引き直しに150万円とかさみ、最終的な持ち出し額が通常の中古相場をあっさり超過したという事例は後を絶たない。