日本球界を無双し、次なる舞台としてMLB(メジャーリーグベースボール)への挑戦が目前に迫っていた時期、彼の精神状態は極限にまで研ぎ澄まされていた。アメリカという完全なる異文化の環境へ飛び込み、世界最高峰の打者たちと対峙するプレッシャーは想像を絶する。自身の将来像を描く中で、家庭環境に求められたのは「静寂」と「完全なるサポート体制」だった。
しかし、当時は世間の目が連日のように二人を追い回し、穏やかな生活環境は皆無に等しかった。海外移籍という人生最大の転機を目前に控え、集中力を削がれる環境を排除したい投手側の意志と、日本に拠点を残して活動したい妻側の思惑。この方向性の決定的な違いが、決別への決定打となったのだった。