インターネット上のイラスト講座などでは、「カラスはとにかくクチバシを大きく尖らせればそれらしく見える」というアドバイスが散見されます。しかし、これは観察眼に基づかない大きな誤解です。ただクチバシを鋭く長く伸ばすだけでは、サギやツル、あるいは猛禽類のワシのような印象になってしまい、カラス特有の愛嬌や重厚感が失われてしまいます。
生物学的見地および美術解剖学から紐解くリアルなカラスイラスト失敗しない理由は、実は「額(ひたい)の盛り上がり」と「クチバシの上面のカーブ」にあります。日本で日常的に目にするカラスには主に2種類が存在します。
ひとつは都市部に多い「ハシブトガラス」。この鳥は頭頂部がおでこのようにポコッと盛り上がっており、クチバシが太く弓なりに曲がっています。もうひとつは農村や河川敷に多い「ハシボソガラス」で、こちらは額からクチバシにかけて直線的で、クチバシ自体も細めです。この「おでこの段差」を意図して描くだけで、ネットにあふれる平坦なイラストとは一線を画す、圧倒的な説得力が宿ります。
さらに、カラスの羽は単なる漆黒ではありません。光の当たる角度によって紫や濃紺、エメラルドグリーンに輝く「構造色」を持っています。ボールペン画であれば白抜きのハッチング(細い斜線)、カラーイラストであればハイライトに青や紫をほんの少し乗せるだけで、初心者向けまとめサイトにあるような安っぽさを完全に払拭できます。