室内や玄関先で多足生物に遭遇した際、パニックにならず瞬時に種類を識別するための基準は、「足の数(生え方)」「体の断面形状」「動きと威嚇行動」の3点に集約されます。
生物学的な分類において、ムカデは唇脚綱(しんきゃくこう)、ヤスデは倍脚綱(ばいきゃくこう)に属します。最大の見分け方は、胴体の1節あたりから生えている足の本数です。ムカデは1つの体節から左右1対(計2本)の脚が生えており、体全体が平らでスマートな扁平形をしています。獲物を捕食するために動きは非常に俊敏で、刺激を与えると体をくねらせて前進・攻撃してきます。
対照的にヤスデは、前方の数節を除き、胴体の1つの体節から左右2対(計4本)の脚が生えています。断面は丸みを帯びた円筒形で、電車の車輪が波打つように規則正しく滑らかに前進します。さらに決定的な識別ポイントとして、ヤスデは危険を感じるとダンゴムシのように渦巻き状(トグロ)に体を丸める防御姿勢をとります。ムカデが丸まることは構造上ありません。
なお、同じ多足類として混同されやすいゲジゲジ(ゲジ類)は、極端に長い15対の脚と長い触角を持ち、クモのように素早く壁を疾走します。見た目のインパクトは強いものの毒性は極めて弱く、ゴキブリやダニを捕食してくれる完全な益虫です。