生ハム原木を選ぶ際、最初に直面するのが「豚の品種の違い」と「骨の有無」です。この2つの要素を誤ると、予算面でも消費面でもミスマッチが発生します。
原料となる豚は主に2種類に大別されます。一般的なスペイン産生ハムである「ハモン・セラーノ」は白豚を原料とし、塩気と赤身の凝縮した旨味が特徴で、比較的さっぱりと毎日食べ飽きない味わいです。一方の「ハモン・イベリコ」はスペイン固有の黒豚で、特にどんぐりを食べて育った最高ランク「ベジョータ」は、人の体温で溶け出すほど融点の低い上質なオレイン酸を豊富に含み、ナッツのような芳醇な香気を放ちます。ただし、イベリコ豚は脂身の割合が多く、初心者が日常的に消費するには重く感じられることもあります。
また、重量表記の罠にも注意が必要です。骨付き原木の場合、骨・外皮・余分な外脂が全体の約50%〜60%を占めます。つまり、7kgの原木を買っても実際に食べられる赤身部分は3kg〜3.5kg程度です。「それなら食べきれる」と思いがちですが、薄切りにした生ハム1枚は約5g〜10g。3kgを完食するには実に300〜600回分のサービングが必要になります。一人暮らしや少人数世帯が初めて挑戦するなら、まずは骨を完全に取り除いた1kg前後の骨なしブロックからスタートするのが極めて安全です。