1975年(昭和50年)4月、キャニオン・レコード(現ポニーキャニオン)からリリースされた『夜の訪問者』は、瞬く間に全国の有線放送やオリコンチャートを駆け上がりました。当時弱冠19歳だった小川順子の経歴とプロフィールを振り返ると、京都府出身の彼女が持っていた独特の陰影と大人びた表現力は、同世代の歌手の中でも突出していました。
『夜の訪問者』の作詞・作曲者を担当したのは、藤圭子をスターダムに押し上げた石坂まさを(作詞)と、数々のポップス歌謡をヒットさせた鈴木邦彦(作曲)という豪華布陣です。切なく胸を打つメロディラインと、大人の夜の哀哀を綴った詞世界が、彼女の少しハスキーで乾いた歌声に見事に合致しました。
この年は、細川たかし、岩崎宏美、太田裕美といった日本音楽史を代表する実力派が一斉にデビューした「黄金の1975年組」でした。その激戦区の中で、小川順子は日本レコード大賞新人賞をはじめ、新宿音楽祭銅賞、FNS歌謡祭優秀新人賞などを受賞し、確固たる地位を築いたのです。