「春の七草」と「秋の七草」は名称こそ似ていますが、その文化的役割と目的は根本的に異なります。
1月7日の「人日の節句」に食べる春の七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)は、冬場に不足しがちなビタミンを補い、正月料理で疲れた胃腸を休める「薬膳・食用」としての実用性を持ちます。
一方、秋の七草は「鑑賞・愛でる」ための草花です。実りの秋を迎え、冬へと移ろいゆく季節の儚さや生命の美しさを野の花に見出し、歌を詠んだり観賞したりする目的で選ばれました。日本人が古来より大切にしてきた「もののあわれ」の情緒や審美眼が色濃く反映された文化的象徴です。
薬草としての側面を持つ植物(葛の根、桔梗の根など)はあるものの、現代において野草として摘んでそのまま食べる用途には適していません。