Wordで行間が意図せず広がってしまうトラブルは、決して操作ミスやバグではない。ソフトウェアが標準で保持している仕様が原因で引き起こされている。現場で多発するWord行間狭くならない理由を紐解くと、主に3つの構造要因に行き着く。
第1の要因は、フォントサイズ行間ずれによるグリッド線の吸着だ。日本語版Wordでは、初期設定として「1行の文字数と行数」を定義するグリッド線(文字の配置ガイドライン)が機能している。標準のフォントサイズ(10.5pt)を超えて11ptや12ptに見出しなどを変更すると、文字がグリッド線の枠に収まりきらなくなり、自動的に「2行分のグリッド幅」を占有してしまう。これが、文字を少し大きくしただけで突如として広大な空白が生まれる正体だ。
第2の要因は、フォント仕様に含まれる余白情報(フォントメトリクス)の影響である。メイリオや游ゴシック、BIZ UDPゴシックなどの書体は、文字の視認性を高めるために上下に独自の余白データを持っている。この余白がWordの行計算と合算され、Word行間勝手に広がる現象を引き起こす。
第3の要因は、段落単位で自動挿入される段落前後のスペースだ。Enterキーを押して改行した際、単なる改行ではなく「新しい段落」として認識されるため、段落間スペースが初期設定されていると行間が倍近く開いてしまう。この3つの仕組みを把握することが、ストレスのない文書作成への第一歩となる。