神社の境内で最も参拝者の目を引くのが、屋根付きの展示場に保存されている「九七式中戦車(チハ)」です。旧日本陸軍の主力中戦車として開発されたこの車体は、模型やレプリカではなく、激戦地から回収された本物の遺構です。
この戦車は、1944年(昭和19年)のサイパン島攻防戦において、戦車第九連隊(五島正聯隊長)に所属し米軍と死闘を繰り広げた車輌です。激しい砲撃戦の末に破壊され、現地のジャングルに埋もれていましたが、戦後約30年が経過した1974年(昭和49年)、元少年戦車兵や関係有志の手によって発掘・引き揚げられ、祖国の地へと里帰りを果たしました。
装甲板を間近で観察すると、米軍の対戦車砲や徹甲弾によって撃ち抜かれた生々しい貫通痕や破片の痕跡が残されており、戦闘の凄惨さを無言のうちに語りかけてきます。鉄兜を被った少年兵たちが最期まで操縦桿を握りしめていた現実を、これほど直接的に伝える遺物は日本国内でも極めて稀有な存在です。