番組が標榜する最大の看板は、タイトル通り「視聴者から寄せられた実体験の手記」をベースにしている点です。朝日ソノラマ時代から続く怪談専門誌や一般公募の体験談から、制作陣は膨大な時間をかけて題材を選別しています。
制作関係者の証言や当時のインタビュー資料によれば、応募される怪談は年間数千件にのぼります。しかし、その大半は「金縛りに遭った」「誰かの気配がした」といった主観的な体験にとどまります。ドラマとして成立させるためには、「第三者との体験の共有」「起承転結のドラマ性」「心理的動機のリアリティ」という厳格な選考基準をクリアしなければなりません。
さらに、番組の象徴的存在である稲垣吾郎の果たす役割は極めて綿密に設計されています。恐怖エピソードが終了した直後、スタジオにカメラが切り替わり、小学生たちと共に唱える「イワコデジマ、イワコデジマ、ほんとにあった…」の呪文。これは後退呪文(「前進」の逆)であり、恐怖によって乱れた視聴者の精神状態を現実に引き戻す「認知的リセット装置」として機能しています。この緩急の構造があるからこそ、視聴者はトラウマ級の恐怖に耐えつつ、翌週もまた画面の前に座ることができるのです。