佐山聡という存在を語る上で外せないのが、1981年4月23日の新日本プロレス・蔵前国技館における衝撃のデビュー戦です。イギリス遠征から極秘帰国し、人気アニメのタイアップとして誕生した初代タイガーマスクは、宿敵ダイナマイト・キッドを相手にプロレス界の歴史を一夜にして塗り替えました。
佐山が繰り出した初代タイガーマスクの技の数々は、当時の常識を遥かに超越していました。相手の意表を突く電光石火のローリングソバット、空中で美しく反転するサマーソルトキック、相手の腕を極めながら後方へ投げ捨てる芸術的なタイガー・スープレックス(猛虎原爆固め)、そして場外へ鳥のように舞うスペース・フライング・タイガードロップ。これらは「四次元プロレス」と称され、金曜夜8時のテレビ中継は最高視聴率25%超を記録する社会現象となりました。
しかし、その華麗な空中殺法の裏には、師であるアントニオ猪木から叩き込まれた徹底的な基礎体力と、カール・ゴッチ直伝のキャッチ・アズ・キャッチ・キャン、さらにはメキシコで習得したルチャリブレ、本場タイで修行したムエタイの打撃技術が完璧に融合していました。単なる軽業師ではなく、実戦的な強さを内包していたからこそ、佐山聡のプロレスは唯一無二の輝きを放ったのです。