本作のクオリティを音楽的に支えたのが、希代のヒットメーカー陣です。作曲・筒美京平、作詞・三浦徳子という昭和歌謡界のトップクリエイターがタッグを組み、洋楽ポップスのエッセンスを巧みに落とし込んだ極上のトラックを構築しました。
イントロから鳴り響くタイトなドラムと煌びやかなシンセサイザー、そして「Yes, my love」というネイティブ仕込みの夏色のナンシーの英語歌詞が、従来の歌謡曲にはなかった圧倒的なグルーヴを生み出しています。「恋かな(YES!)恋じゃない(YES!)」というリズミカルな掛け合いは、一度聴いたら忘れられない中毒性を宿していました。
タイトルにある「ナンシー」という名前の意味について、作詞の三浦徳子は特定の実在人物ではなく、アメリカンポップスに出てくるようなキュートで少し気まぐれな女の子のシンボルとして描いたとされています。少女から大人の女性へと移ろう夏の恋の情景を、キャッチーかつドラマティックに描き出した歌詞の世界観は、筒美京平による転調の妙味と相まって時代を象徴するポップスへと昇華されました。