グルメ系インフルエンサーの発信が先行する店舗に対しては、常に「撮影が終わったら放置されるのではないか」「着色料や添加物で無理やり粘度を出しているだけではないか」という疑惑の目が向けられます。しかし、カフェ「よだれの王子」における調理プロセスを検証すると、そうした一般的な偏見とは真逆の事実が確認できます。
最大の誤解は、「冷めると固まって不味くなる」というネット上の噂です。一般的なチーズケーキやスフレは、焼き上がりから時間が経つと水分が蒸発し、パサつきや急激な硬化が起こります。これに対し、同店では分子ガストロノミーの知見を応用し、トレハロースと寒天由来の多糖類をマイクロレベルでブレンドすることで、客席で提供されてから15分間、滑らかなテクスチャーと適切な粘度を保ち続けるエマルジョン(乳化)構造を確立しています。
つまり、あの視覚的な「なだれ」は安易な演出ではなく、緻密な物理化学的アプローチの結果として生まれたものです。添加物で無理に固めるのではなく、素材の凝固点と融点を緻密にコントロールしている点において、同店を単なる「映え先行の量産型カフェ」と同列に論じるのは明白な誤謬と言えます。