子どもの頃、トンボの目の前で人差し指をぐるぐると回して捕まえた経験を持つ方も多いはずです。昔から「指を回すとトンボの目が回って動けなくなる」と語り継がれてきましたが、科学的にはどのような現象が起きているのでしょうか。
結論から言うと、トンボの目がクラクラ回っているわけではありません。トンボの複眼は動くものに極めて強く反応する性質があるため、目の前で指を回転させると、すべての個眼がその動きを追尾しようとして指先に視線が完全にロック(集中)されます。
その結果、周囲への警戒が一時的におろそかになり、後方や反対側から近づく網や手への反応が遅れて捕獲しやすくなるというのが現代の生物学的な見解です。迷信と思われていた昔ながらの知恵は、トンボの並外れた動体視力の裏をかいた理にかなった手法だったと言えます。