都立高校の入試制度を理解する上で、最も初歩的でありながら多くの誤解を生んでいるのが「素内申」と「換算内申」の区別です。通知表に記載された数値をそのまま足し算した数字と、都立入試の判定で用いられる数値は決定的に異なります。
素内申と換算内申の構造的な相違点
素内申とは、中学校の通知表における9教科(国語・数学・英語・理科・社会・音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定(5段階)を単純に合算した数値です。オール5であれば「5点×9教科=45点満点」となります。
一方、都立高校一般入試で利用される換算内申は、実技4教科の重みを主要5教科の2倍として算出します。具体的な計算式は以下の通りです。
【換算内申の計算式】
(国語+数学+英語+理科+社会)×1 +(音楽+美術+保健体育+技術家庭)×2
= 65点満点
主要5教科がすべて「5」であれば25点、実技4教科がすべて「5」であれば「20×2=40点」となり、合計で65点満点となります。全体の満点65点のうち実技教科が占める割合は約61.5%に達し、主要教科以上に実技教科の評定が全体の換算値を激しく変動させる構造になっています。
換算内申の早見表と実技教科のインパクト
通知表の状況に応じた大まかな換算内申水準は次の通りです。
- オール5:素内申45 = 換算内申65(最上位層)
- オール4:素内申36 = 換算内申52(中堅上位〜上位校の基礎ライン)
- オール3:素内申27 = 換算内申39(標準校の基礎ライン)
- 5教科オール4・実技4教科オール3:素内申32 = 換算内申44
- 5教科オール3・実技4教科オール4:素内申31 = 換算内申47
上記の比較から明らかなように、素内申では「5教科オール4」の方が1点高いにもかかわらず、換算内申では実技教科で「4」を揃えた生徒の方が3点も上回ります。都立高校入試において「主要教科ができるのに内申点が伸びない」と悩む受験生の多くは、この実技4教科の配点倍率の重みによって換算値を押し下げられているのが実情です。