靴製造の聖地として知られる東京・浅草。その一角にある工房で40年以上木型を削り続けている熟練の職人は、静かに語る。「日本人の足は欧米人と比べて甲が高く、幅が広いと言われてきた。しかし現代人の足型は、スマートでありながら踵が小さく、アーチが落ちやすいという複雑な変化を遂げている」。
この変化に真っ正面から向き合って開発されたのが、独自の傾斜と立体感を持つラストだ。足踏まず部分の絞り込みと、踵を包み込むホールド感の立体構成は、職人の勘と膨大なデータが交差する緻密な計算の上に成り立っている。機械加工だけでは決して再現できないコンマ数ミリの凹凸こそが、足を入れた瞬間の包容力を生み出す。