そもそも、この一連のムーブメントはどこから始まったのか。発端はニューヨークのアナログ思考家、ライダー・キャロル (Ryder Carroll) 氏が考案したシンプルなノート術だ。自身のADHD(注意欠如・多動症)による集中力の課題を克服するために編み出されたこの技法は、情報過多に悩む人々の心を見事につかんだ。
彼が立ち上げた Bullet Journal LLC は、単なる手帳術にとどまらない生き方のフレームワークとして世界中で支持されている。ドイツの老舗筆記具・紙製品メーカーである ロイヒトトゥルム1917 (Leuchtturm1917) とのコラボレーションノートは、ドット方眼の精密さと機能美で世界的ヒットを記録した。原点となった 書籍『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』 は、手帳を単なる予定表から「人生の羅針盤」へと昇華させた一冊だ。
しかし、ブームが過熱するにつれ、一つの課題が浮き彫りになった。装飾的なページ作りに時間を取られ、本来目的とすべきタスク処理や自己分析がおろそかになる「装飾疲れ」である。白紙のノートを前にした時に生じる心理的ハードル、いわゆる「白紙の恐怖」をどう乗り越えるか。そこにテンプレート活用の大きな価値が存在する。