アマチュアからプロ野球まで、現場で最も審判の厳しい視線が注がれるのがセットポジションの静止ルールです。規則上は「身体の全体が静止すること」と定義されていますが、現場の審判員が注視しているのは単なる時間の長さではありません。
審判の証言や現場取材によると、判定の核心は「身体の重心移動やグローブを構えた両手の上下動が完全にゼロになった瞬間が存在するか」にあります。首を振って走者を見る動作自体は認められていますが、首を動かしている最中に肩や肘、グラブがわずかでも揺れていれば「完全静止なし」とみなされます。特にクイックモーションを得意とする投手ほど、走者のスタートを警戒するあまり静止を省略してしまい、宣告を受けるリスクが跳ね上がります。
また、ボーク牽制球の基準における最大の焦点は「自由な足(右投手なら左足、左投手なら右足)の踏み出し角度」です。投手の立ち位置から本塁と対象の塁を結ぶラインに対し、ステップした足が「中間線(45度)よりも送球先の塁側へ踏み出しているか」が厳格にチェックされます。左投手が1塁走者を刺そうとする際、足先が本塁側へ向いているにもかかわらず1塁へ腕を振れば、走者を欺いたと判断されて即座にボークがコールされます。