天然のベラドンナアルカロイド由来であるアトロピンとスコポラミンは、薬理学の基礎として必ず比較対照される重要化合物です。両者ともに中枢神経系を通過する第3級アミン構造を持ちますが、中枢作用の出方に決定的な違いがあります。
【アトロピンとスコポラミンの違いゴロ】
「アトから興奮アトロピン、すこし寝かせるスコポラミン」
- アトロピン:中枢興奮作用(大量投与で幻覚・興奮)、徐脈の治療、有機リン中毒・サリン中毒の解毒薬
- スコポラミン:中枢抑制・鎮静作用(眠気)、前庭神経系の興奮を抑えるため動揺病(乗り物酔い)の予防薬として使用
構造上の違いとして、スコポラミンはアトロピンの骨格にエポキシ基(酸素架橋)が1つ追加された構造をしています。この脂溶性の違いなどからスコポラミンは血液脳関門(BBB)をより速やかに通過し、中枢抑制作用を強く発揮します。国試では「乗り物酔い止め=スコポラミン」「徐脈性不整脈・解毒=アトロピン」の組み合わせが頻繁に問われます。