日本橋エリアには数多くの日本橋の老舗企業が点在していますが、その中でも420年を超える屈指の歴史を誇るのが株式会社伊場仙です。関ヶ原の戦いの前年にあたる1599年、遠江国浜名郡伊場村(現在の静岡県浜松市)出身の初代伊場屋勘左衛門が徳川家康公に従って江戸に入り、幕府の御用商人として和紙や竹製品を取り扱い始めたことが同社の起源とされています。
江戸中期以降、伊場仙は扇子やうちわの製造販売へと業態を広げるとともに、浮世絵の版元(出版社)としても名を馳せました。歌川広重、歌川国芳、歌川豊国といった江戸後期を代表する絵師たちと手を組み、庶民の生活を彩る「団扇絵(うちわえ)」や名所絵を世に送り出した歴史を持ちます。現在の伊場仙ビルは、そうした類まれな文化遺産を継承しながら、現代の都市機能に適応させた自社ビルです。
ビルの外観は、落ち着きのある御影石調と近代的なガラスウォールが調和した端正な佇まいを見せています。正面エントランスをくぐると、静謐な和の美意識が漂うショップが広がり、日本橋のビジネス街にいながら一瞬にして江戸情緒へと引き込まれる独特の空気感を醸し出しています。