インターネット上の掲示板やSNSでは、定期的に「本当は怖い童謡」という切り口でシャボン玉の歌が取り上げられます。「間引きの歌なのではないか」「怨霊の祟りを恐れた呪術的な歌ではないか」といった過激な言説が拡散されるケースも少なくありません。しかし、歴史的実証データと照らし合わせると、それらは後世の創作やセンセーショナリズムによる誤解であることが明白になります。
厚生労働省の歴史統計資料を振り返ると、明治から大正初期にかけての日本は衛生状態や小児医療が未発達であり、生まれた子供の約15〜20%が満1歳を迎える前に命を落とすという過酷な現実がありました。野口雨情自身も、みどりだけでなく、後に生まれた子供たちも病で失うなど、度重なる肉親の死に直面しています。
つまり「シャボン玉」は、おどろおどろしい怪談などではなく、当時の日本全国の家庭が共有していた「幼い命を失う切痛な悲しみ」を、雨情が代表して美しい詩へと昇華させた真摯な鎮魂歌なのです。