この美術館の根幹をなすのは、大阪の実業家であった初代・細見古香庵(亮市氏)をはじめとする細見家三代が蒐集した膨大な古美術コレクションだ。一個人の確かな眼力によって集められた展示品群は、現在、公益財団法人細見美術財団によって厳格に管理・公開されている。
コレクションの幅は驚くほど広く、平安・鎌倉時代の精緻な神道・仏教美術から、室町時代の根来塗や茶の湯の釜、そして江戸時代の絵画に至るまで、日本美術史を包括する。何より特筆すべきは、コレクターの個性が色濃く反映された「数寄(すき)」の精神だ。単なる歴史的価値にとどまらず、造形としての美しさ、日常の中に生きる美的センスが見事に凝縮されている。日本古美術の奥深さを体系的かつダイレクトに体感できる空間として、専門家からも極めて高い評価を得ている。