一般的なスーパーのレジ袋や薄手のポリ袋におむつを入れて口を固く縛っても、数十分後にはツンとした悪臭が漏れ出してきます。これに対し、食パンの袋に包むと数日放置していても臭いが外に漏れません。この差を生み出している決定的な要因は、袋の厚みではなく素材そのものの分子構造にあります。
スーパーのレジ袋や一般的なゴミ袋の多くは「ポリエチレン(PE)」で作られています。ポリエチレンは分子配列の密度が比較的粗く、微細な隙間が存在するため、スカトールや硫化水素、低級脂肪酸といったうんちやおしっこのガス分子が隙間をすり抜けてしまいます。これが「袋を二重にしても臭う」現象の正体です。
対して、食パン袋の原料に使われているのはポリプロピレン(PP)です。ポリプロピレンは分子鎖が規則正しく密に結晶化しており、気体分子を通しにくい優れたガスバリア性(気体遮断性)を備えています。もともと食パン袋は、パンの命である「芳香成分を外に逃がさず、外気の湿気を吸わせない」という高度な品質保持を目的に設計された資材です。この特性が、皮肉にもうんちの臭いが漏れない袋として完璧な機能を発揮する結果となりました。
包装資材メーカーの物性データを見ても、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムはポリエチレンフィルムと比較して、気体透過係数が大幅に低い数値を示します。まさにパン袋おむつ臭わない理由は、感覚的な思い込みではなく、高分子化学に基づく純然たる物理的事実なのです。